トップバー
最新ニュース
川崎汽船、64億申\告漏れ 租税回避地の子会社、所得隠し
2011/06/07 16:58

東証・大証1部上場の大手海運会社「川崎汽船」(本店・神戸市中央区)が、大阪国税局の税務調査を受け、平成21年3月期までの5年間で、約64億円の申\告漏れを指摘されていたことが16日、分かった。このうち約16億円は租税回避地(タックスヘイブン)と呼ばれる税率の低い海外にある子会社の所得を隠したと判断され、重加算税や地方税を含め約19億円を追徴課税(更正処分)されたもようだ。川崎汽船側は処分を不服として大阪国税不服審判所に審査請求し、現在も争っている。

 関係者によると、中米・パナマにある川崎汽船の子会社が船舶4隻の建造・購入について造船所と契約。直後に鋼材価格が急上昇、造船所側が当初の契約額では採算が合わないと主張したため、契約額について再交渉したという。子会社は価格上昇分を契約額に上乗せすることで造船所側と合意、上乗せ分約16億円も支払ったとして経費計上していた。これに対し国税局は、再交渉で合意したこと自体が虚偽と指摘。上乗せしたとする約16億円分が所得を圧縮するための経費の水増しと判断し、重加算税の対象にしたとみられる。

 海外子会社は通常、現地で申\告・納税するが、パナマなど租税回避地にあると認められる子会社の所得は、タックスヘイブン対策税制に基づき、日本の親会社の所得と合算し、日本で申\告・納税しなければならない。川崎汽船本体でも、海外子会社から借りた船舶の検査費用を実費でなく見積額のまま経費計上するなど、約48億円分の経理ミスを指摘され、申\告漏れの対象となった。


<産経新聞より>


©2009 柴森忠司税理士事務所 All rights reserved.