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僧侶からお布施還元…葬儀会社など5億所得隠し
2012/06/06 11:05

 葬儀で僧侶が施主から受け取る「お布施」を巡り、東京国税局などが首都圏を中心とした僧侶派遣会社や葬儀会社約10社を一斉調査し、総額約5億円に上る所得隠しを指摘していたことがわかった。

 葬儀会社などは僧侶にバックさせたお布施の一部を収入から除外するなどしていた。値段に幅があり、不透明との批判を受けるお布施が「紹介料」や「リベート」として業者にわたり、一部が裏金になっていた実態が明るみに出た格好だ。

 所得隠しを指摘されたのは、僧侶派遣会社「グランド・レリジオン」(埼玉県川口市、登記上は東京都千代田区)、葬儀会社「セクト」(千葉市)など約10社。

 関係者の話や各社の説明によると、まず施主から葬儀を依頼されたセクトなどの葬儀会社が、グランド社に僧侶の派遣を依頼。グランド社は宗派や日程、場所などを考慮し、自社に登録する僧侶を派遣していた。

 僧侶は葬儀で施主から数万〜数十\万円のお布施を受け取ると、その一部を仲介手数料としてグランド社にバック。グランド社はさらにその一部を紹介手数料やリベートとして葬儀会社に渡していた。葬儀会社が受け取る手数料やリベートの相場はお布施の3割程度とされる。

 国税当局の調査で、グランド社は、僧侶から受け取った仲介料の一部を収入から除外し、葬儀会社への手数料やリベートに充てていたことが判明。このほか、同社が社長の親族数人に支払った役員報酬も実態がないと判断するなど、計約2億円の所得隠しを指摘したという。

 一方、葬儀会社側は、グランド社からの手数料を書留郵便で受け取ったり、別口座に送金させたりして収入から除外。中でもセクトは、手数料とは別にリベートとして約6年間で約3000万円を簿外で受け取っていたという。今回の調査で指摘された手数料やリベートに絡む葬儀会社分の所得隠しは、計約3億円とみられる。

 グランド社の社長は「税務調査を受け、見解の相違はあったが、指導に従った。リベートは業界の慣習だが、最近は受け取らない葬儀会社も増えている」と説明。セクトの社長は「税務当局の指導に従った。お布施には不透明な部分があるのは事実」と話している。


<読売新聞>






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